「ケシは絵に描かれたガラスのコップである。
太陽があたっている時、じつに美しく輝く。
どこから見ても、逆光であってもなくても、
ケシは炎のように見え、
ルビーのように風を暖める。
花びらが開く時はまるで、
拷問から解き放たれたような姿を見せる。
花を閉じ込めていた二枚の萼が
地面に振り落とされる。
それまで不自由の身であった花冠は
太陽の中に身を伸ばし、
できるだけのびやかになろうとする。
しかし押し込められていたために、
傷ついた跡は、
花が咲いている間ずっと残っている。」
ラスキンの『Proserpina』にはこう記されていて、
また、別の人はケシについてこう言っている。
「何百という小さなしわのようなひだで包み込まれており、
まるで3〜4枚の白麻布のハンカチを
ひとつのポケットに詰め込んだようである。」